ハイドゥン
2017.01.20(金)
年をとると、全身の筋力が衰えるのと同じで、顔面の筋力も落ちてきているのが分かる。
もう亡くなってしまったが、私の母が、今の私と同じ年齢になった頃、こんな会話があったのを思い出す。
「何、怒ってんの」
「えっ? 何も怒ってへんで」
母がとても険しい表情をしているので、私が言った一言だった。
あの時母も言っていたが、特に怒っていなくても、怒っているような表情になってしまうというのだ。
今なら分かる気がする。
もちろん若い頃に比べれば体もガタがきて、自分が思っていることが出来ないことが多い。どこということも無く気持ちが沈むことだってある。今の私のように、日々、腰痛に悩まされ、痛みを我慢することで疲れることもある。
だがそんなことだけではなく、実際に顔の筋力が緩むことで、どうも険しい表情になってしまうように思う。
よく電車の中や街中で、高齢の人の表情を見ても、少し怖い顔をしているように見えたりする。
これは自分が実際に年をとって分かったことだが、顔の筋力が落ちることで、普通の気持ちでいるときでさえ、険しい表情に見えるように思うのだ。
鏡の前で自分の顔を観察してみると、真面目な顔をすると、少し怖い顔になっているのが分かる。ついに私も、あの時の母と同じようになったのだと思った瞬間だった。
そのことに気が付いてからは、特に外に出ているときは、口角を上げ、頬の筋肉も上に上げ、目もパッと見開くようにしている。簡単に言えば、少し微笑むようにするのだ。
これも毎日のストレッチと同じ。勝手な思い込みかもしれないが、やらないよりやった方がいいのではないかと思っている。
年をとって、怖い顔をしたお婆さんにはなりたくないのだ。
もちろん心から笑顔でいられることが一番だ。だが、ふとした自然の顔が、優しい笑顔だともっと素敵な気がするのだが、そんなことを考えるのは私だけだろうか。