バラ・ホーム アンド ガーデン
2016.11.29(火)
昨日、同僚から1個ミカンをいただいた。
彼女の両親の実家が岐阜で、田舎のおばあちゃんが送ってくれたというミカンだった。ついこの間は、美味しい柿をタッパに詰めて、みんなにご馳走してくれたばかりだ。
少し分厚い皮の、ちょっとごつごつしたそのミカンは、見かけよりもずっとずっと美味しかった。酸味が効いていて、自然の香りのする懐かしい味だった。何というか、昭和の昔の香りそのままのミカンの味に、同世代の同僚たちからも同じ意見が飛び交った。
私は町中で生まれ、町中で育った。田舎というものが無い。
「裏山」とか、「目の前の海」とかいう言葉に憧れがある。何より、「家の庭先にある木から実をもいで食べる」などということは、憧れ中の憧れだ。
もちろん町中には、気楽さや便利さが満ち溢れている。けれど今の世の中、自然がいっぱいの場所でも、ネットがあり便利さは昔よりずっと身近なものだ。
そう思うと、田舎暮らしに憧れて移住する人の気持ちも分からなくもない。
だが私には、そんな便利さも兼ね備えている現代の田舎であっても、とうていその未知なる世界に飛び込む勇気は無い。
あくまでも「いいなぁー」と、呟くばかりだ。
それはやはり、町中で生まれ、町中で育ったということが影響しているのだろう。旅行でいくら自然いっぱいの場所を訪れても、そこで生活した経験が無いから、恐れる気持ちの方が勝ってしまう。
何かのご縁で、飛び込まなくてはならなくなれば、それはそれで、「住めば都」になると分かっているが、今世はそんなご縁はあるのかどうか…。
ミカンだけでなく、すべての食べ物を自力で作ったり捕まえたりしたことなく生活している私だ。庭を持たない暮らしの中で、ミカンを見つめながら思った。