ホオジロ
2016.12.21(水)
もうすぐクリスマスだ。
子どもたちが寝静まるのを待って、そっと枕元にプレゼントを置いた、あの頃が懐かしい。
もう今ではサンタになることも、サンタが来ることも無くなってしまった。そう思うと、子どもたちの小さかったあの数年間は、大人の私も夢見るような気分を味わえた、素敵な時間だったと思う。
サンタさんからのプレゼントというと、私は自分の幼いころのことを思い出す。
私がまだ4~5歳のころのことだ。
母がピンクのフワフワした毛糸(確かモヘアと言った。)をかぎ針を使って、花びらのような形をいくつも編んでいた。何を作っているのかは小さなピースが何枚もあるだけで、その時には分からなかった。
だがクリスマスの朝に目覚めて枕元を見ると、確かに母が編んでいたあのピンクの花弁が、なんとカーディガンになっていた。
ものすごくショックだった。
ものすごくがっかりした。
サンタさんが母の編んだ花びらをカーディガンにしてくれたなんて、まったく思わなかった。だって、どんどんカーディガンになっていく姿を毎日みていたから。
普通におもちゃ屋さんで売っているおもちゃの方がよほど嬉しかった気がする。
あの朝、サンタさんなんていないと、私は思った。
母はどんな思いであのカーディガンをプレゼントにしたのだろう。まさか喜ぶと思ったのだろうか。それとも、おもちゃを買うお金がなかったのだろうか。編み物や刺繍が好きだった母なので、作ることが楽しかったのだろか。
亡くなってしまった今となってはもう聞きようも無い。
幼いころから、私と母はずっとすれ違ったままだった気がする。
自分の息子たちはどんな風にクリスマスを思い出すのだろう。サンタさんを夢見ることも、信じることも無かった自分の幼い日の思い出とは、どうか違っていて欲しい。
「信じている人のところには、サンタさんは来るのよ」
と、言い続けてきた私だった。